家元の寵愛≪壱≫



手のひらで顔を仰ぎながら彼の帰りを待っていると、


「こちらへお掛け下さい」


差し出されたのは小さなスツール。

履き慣れないヒールで疲れた事もあり、

私は遠慮なくそれに腰掛けた。


すると、


「少し失礼致しますね?」


そう言って、月島さんは私の髪にベールを括り付けた。


「うん、とってもお似合いですよ」

「あ、ありがとうございます////」


お世辞だと解っていても、やっぱり嬉しい。

思わず、頬が緩み出すと、


「では、こちらのグローブをお願い出来ますか?」

「あっ………はい」


ロングのグローブに手を入れ、

月島さんがシワになってないか整えてくれる。


そして、


「はい、これが最後になります」


そう言って、手渡されたのは白ユリのキャスケードブーケ。

大柄な花に良く合うように繊細に緑があしらわれている。

流れる滝のように揺れる様は華やかで気品がある。


これって、本当に完璧な花嫁衣装だ。