家元の寵愛≪壱≫



とある個室へ通された私達は、

中にいた数名のスタッフに取り囲まれた。


そして、


「では、お願いね?」

「はい、チーフ」

「宜しくお願いします」

「はい、お任せ下さい」


私1人取り除いて会話が成立している。

………どういう事?



呆気に取られていると、

繋がれていた手が離れてしまった。


「あっ、隼斗さん!!」

「少ししたら来るから」

「えっ?」

「じゃあ、お願いします」

「承知しました」


私の手を振り解いたというのに

彼は満面の笑みで去って行った。



どうして1人にするの?

ずっと手を繋いでいたかったのに……。



以前なら恥ずかしくて人前では繋げなかった手。

だけど、今は繋ぎたくて仕方ない。



彼に触れている時間だけが唯一安心出来るひと時だから。



「では、こちらにお掛け下さい」

「………」


スタッフらしき人に促され、渋々椅子に座った。

目の前には鏡、後ろにはスタッフ。


鏡越しに室内を見回して………―――………