家元の寵愛≪壱≫



目の前の女性をマジマジ見つめていると、


「お部屋へご案内致します」

「お願いします」

「ッ?!」


ほんの一瞬だったけど、2人はアイコンタクトをした。

私に解らないようにサラリと一瞬だけ。


普段の私ならきっと気付かない。

だけど、今の私は違う!!


―――――私は2人の密会を知っている。



諸岡さんの後について隼斗さんと共に歩を進める。


軽やかな足取りの彼と違い、

私の足は足枷をしてるみたいに重々しい。



そんな私に気付いて、


「ゆの、どうした?……大丈夫か?顔色悪いぞ?」

「え?」


顔色が悪い?

そりゃあそうでしょうよ。


やっと心の中の闇を晴らしたばかりだというのに。

病み上がり状態の私の心には、これは酷過ぎる。



通路脇に飾られた綺麗に手入れの行き届いた花々を鑑賞出来るほど、

私の心には余裕がなかった。


――――人間、そう簡単には変われない。



不安を誤魔化すように、

繋がれた彼の手の温もりだけを信じたくて

彼の腕にギュ~ッとしがみ付いた。


すると、