―――――――――――――
隼斗さん、おはようございます。
私は毎日、
さゆりさんから料理を教わっています。
お仕事は順調ですか?
明後日は隼斗さんの誕生日なので
逢いに行っても良いですか?
お仕事の邪魔は絶対しないので、
10分で良いので逢いたいです。
―――――――――――――
父親の元へ手放して初めて来たメールだった。
彼女の文体はとてもぎこちなく、
言葉を選び選び綴った事が窺える。
こんな風に気を遣わせているのは、やはり俺だ。
『誕生日』
離れていても覚えてくれていたんだと知り、
胸の奥がじんわりと温かくなる。
あんなにも素っ気なく、追い出したというのに。
俺は彼女からのメールを何度も何度も読み返し、
そして、たった1行、返事を返した。
『17日、10時に迎えに行く』
俺は携帯を懐にしまい、仕事場へと車を走らせた。



