家元の寵愛≪壱≫



「少しの間、俺ら………距離を置かないか?」

「えっ?」

「俺が至らなさ過ぎるのが悪いんだ……ごめん」

「ご、ごめん……って、どういう意味ですか?距離を置きたいって……どういう」


ゆのの大きな瞳から今にも涙が溢れそうで心が痛い。


「ごめんな………本当にごめん」

「っ………うっ………………ハァッ……」



ゆのの泣き顔が真面に見れなくて、

俺は咄嗟に彼女を腕の中に閉じ込めた。


元々華奢な身体の彼女なのに

ここ数日、神経を遣わせてしまったからなのか、

より一層華奢に感じてしまった。


……………そうさせたのは、この俺だ。


俺の胸で声を殺しながら涙するゆの。

小さな肩が震えている。


俺はそんな彼女を抱き締めるしか出来なかった。



暫くして、落ち着いたのか、大人しくなった。


俺はゆっくりと腕を解いて彼女の顔を覗き込むと、

ギュッと握り拳を作ったゆの。


唇をギュッと一文字に結んだかと思えば、