『何かあった?』それを私に聞く?
ありまくりだし、そんな事……言えないよ。
だって、尾行した事がバレるし
私が嫉妬してるのがみえみえだし、
元より、浮気の事実を認められても困る。
どうしていいのか分からないよ。
「………別に何も無いですよ」
これが今私に言える、ベストな言葉。
「そうか?」
「はい」
腑に落ちないと言った表情だが、そこはスルーをした。
突っこまれても困るし、その話題には触れたくない。
彼が『結婚記念日』を覚えていてくれた事が嬉しくて、
さらに私にプレゼントを用意してくれていた事に感激して。
今だけはどっぷりと倖せに浸かってもいいよね?
彼の背中をギュッと抱きしめると、
「なぁ、ゆの」
「はい?」
「その………キスくらいは……してもいいか?」
「え?」
「フッ………やっぱりダメだよな」
苦笑しながら肩を竦める隼斗さん。
………キス?
いつもならいちいち聞いて来ない彼。
今日は私がダウンしてるから気を遣ってくれてるみたい。
体調不良でもキスしたいと思って貰えるなんて……。



