家元の寵愛≪壱≫



「ゆの」

「ん?」

「今日、何の日か……知ってるか?」

「へ?…………今日ですか?」

「あぁ」


彼の腕の中で思考を巡らす。

はて、今日は一体何の日だったかな?


ここ数日、彼の動向を気にするばかりで

今日が何日なのかも思い出せない。



私が目を泳がせていると、


「はぁ……。ゆのにとって、俺の存在って結構ちっぽけなんだな」

「へっ?!」

「フフッ、なんか、俺1人空回りしてんな」

「えっ?………それ、どういう意味ですか?」

「どういうも、こういうもねぇよ」

「はい?」


全く以て意味不明。

一体、今日は何の日だっけ?


『何の日?』と問われ、思い出すのは……。


「あっ!!!けけけけっ、結婚記念日?!!」

「正~解。ってか、俺が言うまで忘れてただろ」

「ッ?!/////」


ホントにホントにそうだ!!!

3月2日は結婚記念日。

今日で結婚2年目を迎えたんだ。


そんな事すらすっかり忘れていた私に、