家元の寵愛≪壱≫



ヒンヤリとした指先が頬をつたう。


「まだ治りきってないんだから、ちゃんと寝てなきゃダメだろ」

「…………逢いたかったよ」

「へ?」

「……………逢いたかった」


いつになくストレートに気持ちを表した。

だって、こうでもしなきゃ後悔する。


「どうした?熱で頭でもおかしくなったか?」

「………逢いたかったの」

「ちょっ……おいっ」


大好きな人が隣りにいる。

大好きな人に触れて貰える。

大好きな人が私を見つめている。


ただ、それだけで自然と涙が溢れて来た。



そんな私を、熱で浮かされていると思った彼は


「普段からそれくらい素直だったら、俺マジでヤバいな」


………それは、素直に喜んでいいのかな?

ふわりと抱きかかえられ、再び布団の中へ横たわった。


隼斗さんも隣りに横たわり、

壊れ物を扱うみたいに優しく抱きしめてくれる。



彼のぬくもりに浸っていると、