今日も仕事の筈なのに普段着姿という事は
もしかして、私のせいでお休みしたの?
「隼斗さん………仕事は?」
掠れ気味の声で尋ねると、
「ゆのが心配で仕事なんて出来るかよ」
「ッ!!////」
彼の言葉がお世辞だとしても嬉しい。
嬉し過ぎるよ。
「仕事は親父に任せてあるから心配すんな」
「………ごめんなさい」
そんなに愛おしそうに見つめられたら、
私、自惚れちゃうよ?
仕事よりも私を優先してくれたと……。
でも多分、お義父様やお義母様が気を遣って
きっと、『私の傍に居てあげなさい』と言われたに違いない。
―――――彼は仕事を最優先する性格だから。
どんなに事情があろうとも、
決して仕事は疎かにしない人だから。
それが、『家元』だと前に聞かされた私。
だからこそ、こうして、
仕事を放棄してまで寄り添ってくれる彼に
心から安堵してしまう。
――――――――昨日の女性は無関係なのだと。
彼の傍に居られる事がこんなにも幸せなんだと
私は改めて実感していた。



