家元の寵愛≪壱≫




「……のッ!!………おい、ゆのっ!!」


大好きな人の声がする。

ふわりふわりと身体が揺れて、

温かい何かが頬に触れた。



……何だろう?

逢いたくて逢いたくて、

心から逢いたいと願ったから

夢の中で逢えているのだろうか?



ゆらゆらと身体は揺れているのに

動かそうとしても動けない。

やっぱり、これは夢だから?

思い通りには動けないの??



朦朧としながらも

頬をつたう感触だけは心地良いと感じて。



誘われるままに眠りについた。









どれ程の時間がたったのかさえ、解らない。


雪見窓からは眩しいほどの光が差し込み

室内の天井がハッキリと見えるという事は

恐らく、陽が明けたのだろう。


起き上がろうとも身体が鉛のように重くて

関節という関節が悲鳴を上げている。


頭もズキズキ痛むし、

喉もかなりいがらっぽい。



もしかして、私………風邪を引いたの?