爆音とも思える独特のエンジン音を響かせ、
彼の愛車は守衛小屋を通過し、
軽快に市街地へと走り出した。
私はすぐさま彼の車の後を追って……。
一定の距離を保ちつつ、
決して見失わないように細心の注意を。
15分程走った車は
市内でも有数の高級ホテルの入口に停車した。
――――――えっ?!
もしかして、ここで女と会うの?
一般道の路肩に停車した私は、
窓越しに彼の動きを窺っていると。
運転席から降り立った彼は
駐車係に鍵を渡すのではなく、
エントランスから出て来た女性に軽く手を上げ
何やら話をしている様子。
そして、その後、
その女性が隼斗さんの車の助手席に乗り込んだ。
――――――そこは、私の席だよね?
一部始終を目撃した私は手が震え出していた。
これは一体、どういう事?
どうして、その女性を乗せたりするの?
っていうか、そもそもその人、誰?!
ホテルの入口から市道へ出た車は
夕方の渋滞の中、あっという間に姿を消した。



