聞きたい事は山ほどある。
けれど、きっと私は聞けない。
彼がなんて答えるのか、聞くのが怖い。
毎日が幸せすぎて、麻痺してしまった。
――――――彼は凄くモテるという事を。
きっと、茶道協会の方々と飲みに行って
そこで接待をしてくれたお姉様方の香りが
気付かぬうちに付いてしまったのだろう。
……そうだ、そうに違いない。
自分に言い聞かせるように、
夜が明けるまで何度も唱えていた。
そして、その日の夜も
そのまた次の日の夜も
そのまた次も……そのまた次の日の夜も。
――――――隼斗さんの帰りは毎日深夜に。
本人は『忙しくて、ごめんな』と言うけれど
どう考えても納得できない。
日付が変わるような時間まで
密室のような茶室で稽古してるって言うの?
―――――一体、誰と??



