「御免下さい」
「はぁ~~い」
お義母様が声を掛けると、中から女性の声がした。
少しして出迎えて下さったのは家元夫人。
「遅くなって、申し訳ないわねぇ」
「いいのよ~、さぁさぁ上がってちょーだい」
柔和な表情で手招きする夫人。
それに倣うように私達は部屋の奥へと招かれた。
長廊下を突き当りまで進み、そして右へ。
またまた長廊下をまっすぐ道なりに進み、今度は左へ。
藤堂の家と違って平屋の家だからなのか、迷子になりそう。
家元夫人、お義母様、私の順で進み、
着いた先は―――――家元がいる部屋。
漆塗りの盆の上に色とりどりの花が乗せられ
その盆の左隣りにある、平皿のような花器に
次々へと花を生けている家元。
私達の入室にも気付かぬようで
真剣な眼差しで花を手にしていた。
暫くして、生け終ったのか
花器をそっと持ち上げ、床の間へと飾った。
すると、



