「あぁ~何だろうなぁ……。隼斗が気の毒に思えて来た」
「へ?」
―――――気の毒?
どうして??
不思議に思い、顔を上げると
「そういう『女』の顔は、アイツの前だけにしてやれよ?」
「ッ?!」
「んじゃあな。隼斗にヨロシク!!」
「あっ………はい」
頭を軽くポンポンされ、
圭介さんは颯爽と歩いて行ってしまった。
―――――女の顏って、どんな顏?
圭介さんの言葉の意味は解らないけど、
とりあえず、お目当てのものはゲット出来た。
ゴンドラエンドに陳列されている本に視線を向けると、
んッ?!!
えぇ~っ??!!!
もしかしなくても、車雑誌ってコレだけ?
……ゴンドラエンドに陳列されている本の殆どが
ガーデニングの本ばかりだった。
春に向けての植え替えの本だったり、
今流行の果樹栽培の本ばかり。
その中に1冊だけ車が表紙の雑誌が。
これなら、圭介さんじゃなくても解る。
何で私はここをスルーしたんだろ?
不思議に思いながらも、
その本を大事に胸元に抱きしめてレジへと向かった。



