家元の寵愛≪壱≫



「ってかさ、今日発売なら、探すのは新刊コーナーとかじゃね?」

「えっ?………あっ!!/////」


言われてみれば、そうなのかも。


今まで無駄遣いをせず、

貯金する事ばかり考えていた私にとって

毎月のように趣味にお金を遣う事は夢のまた夢。


だから、『新刊コーナー』だなんて発想、微塵も無かった。


「フフッ。ホント、マジでど天然だな、アンタ」

「ッ?!///////」

「まっ、そういう可愛らしい所に惚れたんだと思うけど、アイツは」

「?!///////」


可愛い?

彼が惚れた理由が天然な私??


玲にいつも言われている。

私は『天然』だと。


確かに、時代に乗り遅れているし

流行りのモノにも興味は無い。


最近になって、漸くそれに気づいて

彼に見合う女性になりたくて必死に勉強している。


今どきの子達からしたら、

私は本当に天然ボケなのかもしれない。


恥かしさのあまり、今にも顔から火が出そう。


「あっ、ありがとうございました////」


視線を合わす事すら出来ず、俯くと