ふと、脳裏に浮かぶ “黒い影”
―――――――圭介さん。
ハッとした俺は、彼女の身体を離し
「じゃあ、もう1つ聞くけど、首の絆創膏は?」
「へっ?」
携帯を見たとは言えず、
かと言って、納得したワケでも無い。
『キスマーク』を隠そうと
絆創膏を貼ったのでないなら、
一体、アレは何だというんだ?
首を怪我することなんて思いつかない。
俺はゆのの肩をがしっと掴んだまま
彼女の瞳から視線を外せないでいた。
すると、
「私、今までお洒落する事自体無かったので、アイロンで巻いた事無かったんです」
「アイロン?」
「はい。クルクルした巻き髪ですよ。お義母様はいつも凄く綺麗に巻いてくれますが、自分では巻けないので……」
「………で?」
「玲に巻き方を教わったんです」
「…………」
「首の絆創膏はその時の火傷のものです」
「ッ?!」
―――――火傷?!
俺の為に、色白の柔肌に火傷を負っただと?
それなのに………。



