家元の寵愛≪壱≫



疑いの眼差し全開の俺に対して、

薄ら涙を浮かべ、悲しい表情のゆの。



「じゃあ、聞くけど。ホントに俺に隠し事してないって言えるか?」

「あっ、はい!!天に誓って」

「天に誓ってって……」


天なんて信じる俺じゃねぇっての。

嘲笑うように鼻で笑うと、より一層悲しい表情で。


「私だって天に『神様』がいるだなんて思ってません。ただ、天国には『お母さん』がいるから……」


ゆのはそう呟くと、大粒の涙を零した。

ッ!! そうだった。

ゆのの母親は……。


“しまった”と思っても、既に遅し。

次から次へと流れ落ちる無数の雫。

それを目にして、俺は言葉を失ってしまった。



暫くの間、彼女の背中を優しく擦り

心の整理をし始める……俺。


『浮気』じゃないなら、何だと言うんだ?

ますます納得のいかない俺は、

覚悟を決めて、事の全容を明らかにする事に。



漸く泣き止んだ彼女に、