家元の寵愛≪壱≫



「あの、とっても言い難いのですが、何か誤解があるような……」

「誤解?」

「あっ、はい。………多分………恐らく……」


消え入りそうな声だが、彼女の表情が真剣だった為

渋々、俺は起き上がり、胡坐を掻いた。



「で?何が誤解だって?」


俺は彼女の口から

浮気の言い訳を聞くつもりはなかったのに。


だからこそ1万歩譲って、あぁまで言ったというのに。

どうして、こうも、恋愛に対して鈍感なんだ!!


―――――――この女は。


ムッとした表情でゆのを見据えていると、


「あの、隼斗さん。何か、勘違いされてませんか?」

「勘違い?………俺が?」

「あっ、はい。私、天に誓って浮気だなんてしてません」

「…………」

「す、好きな男性(ヒト)だって、隼斗さん以外いる訳ないじゃないですか」

「…………どうだか」

「私の事、信じてないんですか?」

「…………」



俺は彼女の言葉を信じたいと思いながらも

心が素直に受け入れられないでいた。