家元の寵愛≪壱≫



―――――――浮気を黙認するなどと。


フッ、俺も落ちぶれたものだな。


6歳も年下の女に振り回されるとは。

これが、惚れた男の弱みってヤツか。


そんな事を思いながら畳上に大の字に。


言いたい事を全て吐き出したら

全身の力が抜けきったようだ。


…………ホント、情けねぇ。



仕事着のまま、仰向けになった俺は

溜息まじりに前髪を掻き乱した。



すると、


「あの…………隼斗さん?」


そんな俺の横に来たゆのは、

眉間にしわを寄せながら俺の顔を覗き込んで


「今の話、言ってる意味が全く分からないのですが…」

「ん?」

「好きな男だとか、離婚だとか。それに、浮気がどうのって……」

「………何が言いたいんだ?」



最後までとぼける気か?


ゆのは理解出来ないといった様子で

俺に申し訳無さそうに聞き返して来た。



そして………。