家元の寵愛≪壱≫



「ゆの、これだけは言っておく」

「…………はい」

「例え、他に好きな男が出来たとしても、俺は引く気は微塵もねぇし、死んでも離婚するつもりはサラサラねぇ」

「えっ?」

「それと、ゆのは今まで遊んで来てないだろうから夢中になるのも良く分かる。今が1番楽しい時期だろうし」

「ん?」

「でもな、遊ぶなら遊ぶで、俺に分からないように遊べ」

「へっ?…………それってどういう……?」

「どういうもこういうもねぇよ。浮気をするなら最後までバレないようにしろって事だよ」

「はい?!」



ゆのは目を丸くし、首を傾げている。

フッ、今さらとぼけたってムダなのに。


俺は羞恥心を捨て、胸のつかえ全て吐き出した。

けれど、スッキリしたいワケじゃ無い。

ただ、6歳も年下の彼女の対して

1万歩譲っての俺の結論だった。



遊び盛りの彼女に『遊ぶな』とは言えず、

かと言って、全てを許せる俺でも無い。


今まで散々遊んで来た俺だからこそ、

出せた結論なのかもしれない。