「どうかしましたか?」
俺の心理を探るように様子を窺うゆの。
どうかした、だと?
今日のゆのはどうかしまくりだっての!!
俺は居てもたってもいられず、
「ちょっと来い!!」
「えっ?!」
俺は強引に彼女の腕を掴んで、部屋へと。
そして、寝室の襖に手を掛けた、瞬間!!
「あっ、ダメッ!!」
「ッ?!!」
ゆのが声を荒げたと同時に
俺は勢いよく襖を開けた。
すると、
室内は柔らかい灯りが揺らめく行灯に照らされ
どこからともなく、爽やかな甘い香りが。
ん?
………この香り。
ついさっき、母屋の居間で嗅いだ香りと同じだ。
上品で優しく、仄かに爽やかさが漂って……。
「これは……?」
「あっ……えっと………」
ゆのは気まずそうに言葉を濁し、俯いてしまった。
敷居の手前で急停止した俺ら。
目の前の光景に驚くも
彼女の表情から察するに、
何となく、状況が呑み込めて来た。



