家元の寵愛≪壱≫



「お風呂の準備は整ってございます。お入りになりますか?」


土下座のような形で顔を伏せている為、

ゆのの表情を窺い知る事は出来ない。


普段と違う彼女の様子に戸惑いつつも、


「ん」


俺は簡潔に答えた。

すると、ゆっくりと顔を持ち上がり

彼女と視線がバチッと合った。


「ッ?!!……ゆの……なのか?」


黒目がちな大きな瞳は、

いつにも増して魅惑的な瞳に。


くっきりとアイラインが引かれ、

くるんと長いつけ睫毛が……。


さらに、口元は艶やかに輝いており

小さな唇が……ぷっくりと。


頬は愛らしくほんのりオレンジ色に。



いつもの愛らしいゆのでは無く、

少し大人びた魅惑的な印象が

俺の視線を一瞬にして釘づけにした。



そんな驚きを隠せない俺に、