俺はゆのの首筋に顔を埋める形で
ほんの少し、悪戯をしようと……。
柔らかい髪を掻き分け、
ゆっくりを唇を這わせて……。
すると、うなじに程近くの後ろ首で急停止。
俺のお愉しみ時間をブチ壊すほどの違和感が。
滑らかな肌には不釣り合いのそれは、
数日前に鎮火した筈の俺の心に
―――――――再び、炎を点した。
ベッドサイドの照明に手を伸ばし、
ゆっくりと視線を先程の場所へと。
――――――――――やっぱり!!
俺の硝子の心が容赦なくひび割れてゆく。
今すぐ、ゆのを叩き起こして問い質したい。
けれど、起こした所でどうにもならない。
自分で自分の首を絞めるばかり。
ならば、今は見て見ぬフリが1番なのかもしれない。
例え、ゆのが浮気をしていたとしても、
彼女の口から『別れ』を告げられるまでは。
いや、俺自身が『夫』である事を放棄するまで。
その最後の時まで、彼女の事を信じよう。
―――――――そう、心に誓った。



