『隼斗、悪いわねぇ。今日はゆのちゃんと出掛ける約束をしてるのよ~?』
「はぁ?」
嘘かどうかは分からないが、話の辻褄がピタリと合う。
『来月の茶事用の着物を誂えようと思ってね』
「………」
マジで?
ホントに外出予定だったのか?
何だか、俺1人、虫の居所が……。
チッ!!
んだよッ!!
せっかくの休みだってのに……。
親父同様、母さんも気を利かせてくれたらいいのに。
「明日じゃダメなのかよ」
『明日?明日はあちらさんが店休日だし、明後日から3日間は京都へ行く事になってるじゃない』
………そうだった。
両親が京都へ行く事は、
だいぶ前から決まっていた事。
『京都から戻ってからだと、間に合わなくなりそうだもの。今日くらい我慢しなさいよ』
「………」
『隼斗、ちょっとゆのちゃんに替わってちょうだい』
やれやれ的な母親の口調にムッとしながら、
「ん」
「へっ?」
「母さんが替われって」
嫌々携帯をゆのに手渡すと、



