家元の寵愛≪壱≫



「わっ、私が聞いて「俺が聞くから」

「ッ?!」


俺の言い伏せるような口調に硬直した。


そんな彼女を余所に

俺は携帯で母屋へと電話を掛ける。



トュルルルルッ……トュルルルルッ……


『はい。藤堂でございます』

「俺だけど」


一発で本人が電話口に。


「は、隼斗さん…」


ゆのは俺の袖を引っ張りながら、狼狽え始めた。

そんな彼女を無視して、


「母さん、今日の予定は?」

『予定?何、急に…』

「いいから、教えろよ」

「隼斗さん、お義母様にそんな言い方、失礼ですよ?」

「いいから、ゆのは黙ってろ」

「ッ!!」

「で?母さんの予定は?」

『それ聞いてどうするの?』

「どうするって、そんなの母さんには関係ねぇだろ」

『…そうね、関係無いわねぇ。それなら、母さんが何しようと何処へ出掛けようと隼斗には関係ないわねぇ?』

「なっ!!」

『ゆのちゃぁ~~ん!母屋へいらっしゃ~い♪』


スピーカーから耳を劈くほどのムカつく声が。