家元の寵愛≪壱≫



俺が不在だったこの1週間に

俺の知らない『女性』に

変身してしまったようで

心の奥がザワザワと騒ぎ始めた。



あどけなかった彼女が

俺と暮らすようになって

少しずつ大人の女性になるのを

心の底から楽しみにしてはいたが、

こうも、急に成長されると

返って不安が募るというもの。



しかも、俺の知らないうちに……。


遣る瀬無さが込み上げて来る。



目の前の事実を抹消するかのように

俺は無言でパジャマのボタンを留めた。



これは夢だ、夢に違いない。

俺はそう思いたくて、

ゆのをギュッと抱きしめ、瞼を閉じた。



これが何かの間違いだというならば、

次に目が覚めた時には

いつものゆのでありますように……。



そんな泡のように儚い想いを抱きながら

長い長い夜を明かした。