家元の寵愛≪壱≫



一体、昼間に何をしていたんだ?

これほどまでに疲れるという事は…。


ため息まじりに彼女の寝顔を覗くと、

天使のような、女神のような……。


はあぁぁぁ~~。


俺ってこんなにも器の小さい男だったか?

女が二股をかけてようが、

全く気にも留めなかったのに。


ゆのが相手だと、こうも感情が抑えられない。


知り合って、約1年。

お互いまだ、知らない事だらけなのかも。



ゆのの長い睫毛に指先を滑らせ、

ゆっくりと、鼻先……唇……へと。


指先が柔らかい唇に触れた瞬間、

ふと、嫌な予感がした。



――――そんな事はないよな?


俺は恐る恐る、その指先を下へと滑らせた。



辿り着いた先は、パジャマのボタン。


寝てるゆのを襲うつもりはないが、

今すぐ、確かめたい事がある。



俺は躊躇なく、ボタンを2つ外した。


淡い灯りの中では、はっきりと確認出来ないが

それでも、この不安を掻き消す材料は他には無い。



俺はそっと、ゆのの頭の下に枕を差し込み

ゆっくりと彼女の胸元へ。