家元の寵愛≪壱≫



「携帯を置いて行ったので、心配しましたか?」


少し顔を曇らせ、覗き込んで来た。


「ん、まぁな」

「ごめんなさい。次からは気を付けますね」


申し訳なさそうに謝る姿に心が痛む。

謝って欲しいワケじゃ無いのに。


そんなゆのの手を握ると、少しヒンヤリとしている。


「ゆの、風邪ひくぞ」


パジャマの上に何も羽織らずいるなんて。

1月の下旬といったら、1年で1番寒い時期なのに。


俺は彼女の手を掴み、

手繰り寄せるようにベッドへと潜り込んだ。



すると、


「隼斗さん」

「ん?」

「ギュッと……抱きしめてくれますか?」

「ッ?!」

「一週間も離れていたので、電池切れです……私////」

「フッ」



そんな可愛い事を言われたら、

歯止めが利かなくなるっつーの!!


珍しくおねだりをしたゆのは、

恥かしそうに俺の身体に抱きついて来た。



「誘ってんのか?」

「……////」