家元の寵愛≪壱≫



頬にふわりと柔らかい感触が。


「……さん………隼斗さん」


どこからともなく美声が聴こえて来る。


「隼斗さん……隼斗さん」


その声は俺の凍りついた心を一瞬で溶かし、

重い瞼が一瞬で開く『魔法の声』


「ゆのッ!!」

「キャッ!!////」



俺は彼女の腕を掴み、無意識に抱き寄せた。


一週間ぶりのぬくもり。

やっぱり、この感触は堪らない。



「おかえり」

「隼斗さんも……お帰りなさい」


俺の胸で囁くゆの。

……夢じゃない。


俺は心の隙間を埋めるように

これ以上無いほどにきつく抱きしめた。



「……くっ……るしぃ……です」

「知るか」

「なっ////」


俺の態度に反応する彼女が愛おしくて、

ますます腕に力を込めた。



すると、


んッ?

んん??

何だ、コレ?!



抱き寄せる腕をゆっくり解くと、

ますます頭に『?』が浮かぶ。



硬直気味の俺を不思議そうに見上げるゆの。