のんびり……かぁ。
それも分からなくも無い。
遊びたい盛りの大学生だし、
今までバイト漬けで
『遊び』らしい遊びもしてないだろうし。
そう言われると、我慢せざるを得ないよな。
はあぁぁぁ~~。
「じゃあ、そういう事だから」
母親は用件だけ告げると、
不敵な笑みを浮かべて、母屋へと姿を消した。
再び、静まり返る……離れ。
時より、鳥のさえずりと律儀に刻む秒針の音。
そして、嫌でも零れ出す……俺のため息。
ゆの不足を知らせる警告音が響く中、
俺は寝室のベッドへ3度目のダイブをした。
―――――ボスッ
肌触りの良い羽毛布団に埋もれ、
ゆのの枕に顔を埋めた。
今はこれだけが俺の味方かよ。
枕から香るゆのの香り。
その仄かな香りが、ドス黒い心を浄化する。
そんな心地良い香りに包まれて、
俺は空気と化すかのように瞼を閉じた。
何もかも忘れ、
ただ、その香りを身に纏いたくて……。
引き込まれるように夢の世界へと。



