怒りに負けて、襖や壁を殴り倒したい所だが
商売道具のこの手を怪我する訳には…。
ギュッと握りしめた拳を見つめ、ため息が。
俺は無意識にもそんな事を思い浮かべ、
苛立ちを発散し切れないでいた。
―――――ボスッ
再び、ベッドへダイブした俺は
ゆのの枕を抱きしめながら……。
『今すぐ帰って来い!!』
『感情がセーブ出来るうちに…』
『ゆの……ゆの……ゆのぉぉぉ~!!』
溢れ出すため息と共に
弱音ともとれる独り言を呟いていた。
その時!!
ガラガラガラガラッ
淀んだ室内に待ち焦がれた音が響いた。
それは紛れも無く、玄関が開く音。
俺は慌ててベッドから飛び降り、
一目散に玄関へと向かった。
普段から、畳や廊下を決して走らない俺だが
この時ばかりは一心不乱に。
愛妻を自ら出迎える為、
これ以上無いほどのデレデレの顔で。
すると、



