家元の寵愛≪壱≫



7Mほど滑った所でボードがコブにはまり

体勢を崩したゆのは前のめりに倒れ込んだ。


「ゆのッ!!」


俺はすぐさまゆののもとへ駆け上がって…。


―――――はっ!?

誰だ?……アイツら。


雪に埋もれたゆのを抱き起す男2人組。

ゲレンデで……ナンパ?!

マジかよ……。


俺は必死にゆののもとへ急いで。

さすがになだらかとは言え、

足元は雪で履き慣れないスノボーブーツ。

中々、辿り着けない。


すると、目と鼻の先で事もあろうに

ゆのの身体を撫で回していやがる。

ゆのに触れていいのは俺だけだっつうの!!


やっとの思いで駆け寄り、


「ゆの、大丈夫か?!」

「隼斗さん…」


潤んだ瞳で俺を見る。


「チッ!!」

「行くぞ」


ナンパ男2人組が舌打ちして去って行った。


「ゆの、平気か?ケガしてないか?」

「あっ、はい。ちょっと躓いちゃっただけ、えへへッ」


いつもの愛らしい表情のゆの。