「あっ、うちの家内、パティシエなんです」
「えぇ~そうなんですか?!」
「あっ……はい、一応」
はにかむ奥さん。
シェフの夫にパティシエの妻。
「素敵なご夫婦ですね」
「とんでもない……好きなだけです」
他に誰もいないという事もあり、
俺ら4人で珈琲を口にしながら、
他愛ない話をまったりと。
お言葉に甘えて、
ゆのがフルーツタルトをリクエストし、
そのお礼に俺がお茶を点てる事にした。
いつでもお茶が点てれるように、
簡易の茶の湯セットが親父の車に積んである。
勿論、俺の車にも。
―――――こういう時の為に。
『一期一会』
一生に一度きりの出会いに感謝して
最高のおもてなしをするという茶道の心得。
「ゆの着替え終わったか?」
「はい」
俺らはゲレンデ目指して、コテージを後にした。



