毎日、こんな疲れ切ったゆのを見ると
本当に申し訳なく思ってしまう。
本当にこれで良かったのだろうかと…。
前髪をそっと横へ流し、指先は頬の上を滑らせ
ぷっくりとした小さな唇に僅かに触れる。
すると―――――、
ゆのは何かを食べている夢でも見ているのか
俺の人差し指をペロッと舐めた。
ッ!!!!
ッくぅ~~~~~!!
寝ながら俺を誘っているのか?
ったく、この小悪魔め!!
俺は軽く吸い上げるように
チュッと乾いたリップ音を部屋に響かせ
欲情を押し殺しながら口づけをした。
はぁ~~~ぁ~~~。
俺ってつくづくツイテねぇー。
ゆのが処女だと言うから籍を入れるまではと
毎日、理性崩壊の限界まで我慢したのに。
家元襲名披露の宴の日に…
と、決めていたのにも関わらず、
祝い酒でヘロヘロになっちまったし…。
ゆのも翌日から稽古でクタクタでバタンキュー。
未だ“夫婦”なのか“恋人”なのか?
………分からない。



