家元の寵愛≪壱≫



「は、隼斗さん?」

「………」

「隼斗さん」

「………」

「隼斗さん!!」

「……ん?」


少し不機嫌気味に振り返る。


すると、

今にも大粒の涙が零れそうで。


「ッ?!」

「ごっ…ごめんなっ…さい…」


ゆのの瞳から大粒の涙がポロポロと。


「ゆの…」

「からかった……つもりじゃ…ないんです」


涙を拭いながら


「ホントに……ごめんなさい」


深々頭を下げるゆの。

別に俺は泣かせるほど怒ってるワケじゃない。

からかわれたのをからかい返しただけで。


あぁ~~もう、マジでゆのは純粋すぎ。

冗談も通じねぇ……。


俺は仕方なく、俯くゆのを抱きしめ


「別に怒ってねぇよ」

「………ホント?」

「あぁ」

「ホントにホント?」

「ん」

涙目で見上げ、ほんの少し微笑んだ。

フッ、今日はゆのに踊らされてやるか。