家元の寵愛≪壱≫



「I didn't know the meaning of my love and happiness until I met you.」

【訳】隼斗さんに会うまで、愛と幸せの意味を知らなかったんです。



ゆのは流暢な英語で囁き始めた。

確かに、日本語よりは英語の方が

サラリと『愛』の言葉も囁けるか。

フッ……考えたな、ゆの。


俺は耳を澄まして、ゆのの声に耳を傾けると

恥かしそうに小さな声で言葉を紡ぐ彼女。



「You always make me happy.」

【訳】私の幸せはあなたといること。


「Ever moment with you.」

【訳】どんな時もあなたと一緒に。



ゆっくりと抱きつく腕を緩めて

俺の瞳を熱く見つめ……。



「Please keep holding my hands.」

【訳】どうかこの手を離さないで。



小首を傾げて俺を見据える。



そして―――――、