家元の寵愛≪壱≫



「俺の第一印象は?」

「えっ?第一印象ですか?そうですねぇ……凄いカッコイイ人だなって」

「カッコイイ……か。実は俺、あの日よりももっと前からゆのの事知ってたんだ」

「えぇっ?」

「エトワールホテルで清掃のバイトしてただろ」

「えっ?!何で知ってるんですか?」


驚きを隠せないゆの。

俺をじっと見つめ、俺の方に歩み寄って来た。


「それから、欅通りのガソリンスタンドでも」

「ッ?!!」


ゆのは驚愕して、立ち止まった。

……無理もない。

今まで話す機会なら幾らでもあったハズ。

今さら話す必要などどこにも無い。

それに、彼女がバイトをしていた理由に

俺は触れたくなかったから。

今までこの話題を避けて来た。


けれど……俺は……。


「俺はゆのを初めて見た時、『可愛い子』だと思った」

「?!////」

「けど、行く先々でゆのを見かけて…」

「ッ?!」


表情を曇らせたゆのに、