家元の寵愛≪壱≫



19時30分、ペンションに到着。

白い洋館に赤い屋根。

お伽話に出て来そうな可愛らしい本館。


陽はすっかり沈んでいるのに

辺り一面、白銀の世界だからなのか、

月明かりに照らされた木々が

幻想的な雰囲気を醸し出している。


俺らはチェックインし、宿泊予定のコテージへ。

ドーム型の可愛らしい造りで

ゆのはキャッキャッと喜んでいる。


「ほら、ゆの。早くしないと迷惑がかかる」

「あっ、はい」


俺らは予め連絡済の遅めの夕食を戴く事に。


荷物を置いて、再び本館へ戻ると

色鮮やかな食事が用意されていた。


「すみません、遅くに…」

「いえ、大丈夫ですよ。うちは5組しか宿泊出来ないですし、ナイターで滑りたいお客様用に早めにお出しする事もあるので」


にこやかに微笑むペンションオーナー。

その横に小柄の綺麗な女性が。

30代半ばと思われるオーナーご夫婦。

とても優しそうで話も合いそうだ。