家元の寵愛≪壱≫



ゆのは“スノボー”にした事を

未だにブーブー文句を言ってるが、

俺的には可愛い抵抗にしか思えない。



それにこの旅行、

クリスマスとゆのの誕生日の他に

俺らにはもう1つの記念日でもある。


ゆのは覚えてるだろうか?

2人が想いを確認した日。

ちょうど今日で1年。

まぁ、結婚した今では

記憶は薄れる一方だが。


それでも俺は忘れたくない。

ゆのが初めて俺に『好き』と

好意を露わにしてくれた日だから。


夫婦になって初めてのクリスマスは

ゆのの19歳の誕生日もあって、

俺は彼女に心から気持ちを伝えたい。



俺はこの日の為に毎日忙しい中、

ゆのが喜びそうなプレゼントを

時間の許す限り必死で探し求めた。


何とか無事に間に合って、

後は本人に渡すのみ。


今まで沢山の女に贈り物をしたが、

これほど真剣に悩んだ事は無いし、

こんなにもワクワクした事もない。


何もかもがゆのは特別なんだ。