家元の寵愛≪壱≫



「ゆの、ストッキングもタイツも履いてないのか?」

「ッ!?////そう…ですけど////」

「ッ!!////フッ……なるほどな」


俺はゆのを下ろそうと

ゆのの脚に手を添えたら

生脚だと気が付いた。


車内の俺は、信号待ちや駐車場で

隣りに座るゆのの膝に良く手を乗せる。

そんな俺の些細な行動に気を遣ったのか?


先月のドライブの際に、

『生脚だともっと良いんだけどな?』

俺の些細な言葉に……。

こんな事されたらますます溺れるだろうが。



俺はゆのをそっと地面に下ろして


「早めに採って、家に帰ろうか?」

「ッ!!////////」


耳まで赤くしたゆの。

俺の言葉を理解したらしい。

今時の子にしたら奥手だが、

それでも少しずつ俺仕様になって来た。


拾い集めた葉や小枝は、

弟子達の稽古用に使う物。


季節を感じて感性を培うのに…。

香心流の稽古の1つでもある。