家元の寵愛≪壱≫



パネルに写る本人が、

しかも着物姿で会場にいるものだから

入口には物凄い人が集まって来た。



すると、


「あっ、藤堂さ~ん、ごめんねぇ~」


何やら見覚えのあるような女の人が

カメラ片手に話し掛けて来た。


ん?!

もしかして写真部の人?!

そうだよ!!

この人、あの日も同じ眼鏡をしてたもの!!



「あの!!これ、どういう事ですか?!」


私は声を荒げて問い質す。


「部室に飾ろうと思って現像したのを部の子がミスコンのパネル用と勘違いして運営部に出しちゃって…」

「えぇーっ!?」

「ごめんねぇ~さっきも手違いだから辞退させてって申し出たんだけど…」

「……ダメなんですか?!」

「うん、藤堂さん……1番人気らしくて…」

「はぁ?!」

「ゆの凄いじゃん!!」

「いや、玲そういう問題じゃないから」


私は嫌悪感を露わにした。