家元の寵愛≪壱≫



会場にはすでに大勢の人が集まっており、

会場内の入口脇に出場者の特大パネルが

勝手に飾られていた……。


端から順に見て行くと…



「あっ!!!」

「これ、完璧ゆのだわ…」

「何で?!!」

「この写真、いつの?」


……何?! この写真……。

撮られた記憶が全く無い。

一体、どういう事?!


私は自分のパネルを眺めて…



「あっ!!」

「何か思い出したの?」

「……うん」



確か、この着物は2週間前の茶会に着た着物。

そうだ!!

確か、あの日は…大学の写真部が

秋の茶会を撮る事になったと

隼斗さんから聞かされていた。


まさか、私が撮られていただなんて…。


しかも……何?!

何で勝手にミスコンに登録してるの?!