家元の寵愛≪壱≫



ハトが豆鉄砲を食らったような表情で…。


「では、何か質問はありますか?」

「はーい、はぁ~い!!」

「はい、そこの水色のTシャツを着た子。学部と名前を言ってから質問を…」

「はい、英文科2年、月島沙絵です。先生は現在、恋人がいますか~?」


フフッ、俺の狙い通りの質問を

1発目からブチ込んでくれるとは…。

マジで……有難い。

俺は嬉しさのあまり、自然と笑みが零れると



「「キャァ~~!!カッコイイ~!!」」


教室内の女子が黄色い声を上げた。


「ん~最初から難しい質問ですね…」

「えぇ~~っ!!先生、お願いしまぁ~す」


女子の熱視線を浴びる中、


「現在、恋人はいません」

「「「「キャァァァ~~!!先生、それホント~?!」」」

「はい、本当です。恋人はいません」


一斉に騒ぎ出す女子学生。

教室の右端に1人だけ

黒いオーラを放っている生徒が…。

ゆのに目を向けると、

目を大きく見開き、俺を見ている。