すると、間もなく別の男性職員が姿を現し、
「おはようございます。倉林と申します」
「おはようございます。本日よりお世話になります、藤堂と申します。宜しくお願い致します」
俺は深々お辞儀し、挨拶を。
「こちらこそ、宜しくお願い致します。えぇ、今後は如何お呼びしたら宜しいですか?」
「あっ、そうですね。清鈴流の方々は何と?」
「はい、家元へは家元と、ご子息様の次期家元へは先生とお呼びしておりましたが…」
「では、同じで構いません。名前が必要でしたら『香雲』という名がございます。そのどちらでも構いませんので」
「では、家元とお呼び致します。場合により、他の家元と同席する場合は先程のお名前でお呼び致します」
「はい。宜しくお願い致します」
「では、家元。お部屋へご案内致します」
俺は倉林さんと共に目的の部屋へ。
案内された場所は、新館2階。
『伝統文化室』と表示された部屋の前。
「家元、こちらになります。既に5分程過ぎておりますので…。終わりましたら、先程の部屋へお越し下さい。では、宜しくお願い致します」
倉林さんは笑顔で会釈し、来た道を戻って行った。



