車内に乗り込むと新車特有の匂いが。
ハンドルを握り、ミラーを調節。
ウフフッ、やっぱり凄く嬉しい。
バイトで貯めてた貯金で免許を取ったから
車は暫く無理かなって諦めてたけど。
運転席のドアから隼斗さんが
「良かったな」
「はい」
思わず、満面の笑みが零れちゃう。
すると―――――
助手席側のドアを開けたお父さんが
「じゃあ、ゆの。父さんとそこら辺をひと廻りして来ようか?」
「えぇぇーっ!?」
「んっ?!」
父親の言葉に突然大声を上げた隼斗さん。
双方のドアから声が上がり、
私は首を左右に振って……。
「隼斗さん、どうしたんですか?」
私は顔を曇らせた彼に訊ねた。
「ん…」
「隼斗さん?」
「ごめん、ゆのちょっといいか?」
「えっ?」
隼斗さんに腕を引かれ車から降ろされた。



