家元の寵愛≪壱≫



父親が私の車を運転し、

さゆりさんは自分の車を運転して来たらしい。



「ご無沙汰しております」

「いえ、こちらこそご無沙汰して…。娘がご迷惑をお掛けしてないでしょうか?」

「迷惑だなんてとんでもない。毎日、学業の他に家の仕事も家業の仕事もきちんとこなしてくれて、申し訳なく思っておりますのに…」

「お義母様…」

「天気も良いし、乗り初めして来たらどうだ?ゆのちゃん」



お義父様が優しく微笑みながら声を掛けてくれた。



「えっ?良いんですか?!」

「いいも何もゆのの車だろ?」

「あっ……はい」

「プッハハッ…「フフフッ」「ハハハハッ…」



何だか、皆一様に笑い出した。

もう……失礼しちゃう。



「ほら、脹れてないで運転席に乗ってみろ」

「はい」



門前に停められた

初心者マーク付きの私の白い愛車。

白と言ってもパールホワイトだから

少し優しい感じの色合い。


私は緊張しながらドアを開けた。