「失礼致します。園宮様がお見えに…」
執事の杉下さんが父親の到着を知らせに…
「おぅ、そうか。ゆのちゃん、お父さんが到着したみたいだ」
「はい」
「ゆの、行こう?」
「はい!!」
「あなた、私達も」
「ん」
私達4人は揃って庭先へと。
門の方から玄関へと歩み寄る2人。
「お父さん!!」
「ゆの!!」
私は思わず駆け出した。
「ゆのちゃん、こんにちは」
「さゆりさん、こんにちは。先日はお世話になりました」
「ううん、私の方こそ楽しかったから…」
お父さんとさゆりさんはまだ籍を入れていない。
私達が1周年を迎えるまでは…と決めているらしい。
だからってわけじゃ無いんだけど。
恥かしくて『お母さん』ってまだ呼べてない。
こんなにも優しくていい人なのに。
心の中にいる本当のお母さんを思うと、
つい、言えなくなってしまう……私。
いつかは……お母さんって。



