いらない…?



それ、どんな意味だよ…。



パタンと閉まったドアをただ見てるだけ。



息ができなくなりそうで。



そんなこと、絶対言われたくなかった…。



俺、何やってんだろ…。



全部終わらせて琴音を迎えに行ったはずなのに…。



俺のワガママで、琴音と離れて…。



昔のセフレにキスされました。



そりゃねぇわ。



琴音もキレるよな。



「ははっ…」



何も手につかなくて、ただ部屋でボーッとする。



しばらくして、部屋がノックされた。



「入るよ」

「蓮華さんっ…」

「今さっき、泣いてるお嬢様に会ったの。時差もあるから、疲れて部屋で眠ってる」



俺の母親。



今はこの屋敷でメイドをしてる。



美琴様にはいい話し相手らしい。



「来た時から情緒不安定なのはなぜ?」

「えっ?来た時?」

「私にはそう見えたけど。ヒョウ、そんなにいつもお嬢様を不安にしてるの?」

「そんなの…知らねぇよ…」

「お嬢様は昔から繊細だからね」



何を言いに来たんだよ…。