【琴音】



雪乃さんがやってきて2週間、もうすぐ冬休み。



「龍蔵、今日ヨガ行ってくるからね」

「うん、お昼はなにしてんの?」

「ひとりでランチかな」

「雪乃が大学の近くまで来たら一緒に食えるのに…」

「ヨガ教室と反対方向じゃん」



お兄ちゃんが驚くほど幸せそうだ。



雪乃さんは大学を辞めてまでお兄ちゃんのそばにいる。



ヒマすぎるので、いろいろなことを始めたらしい。



ヨガとか、ジムには毎日ってほど通ってる。



「お嬢様、早く召し上がらないと遅刻してしまいますよ」

「あっ、つい…」

「急いでいただけたらありがたいです。そして、ニンジンが残ってます」

「ごめんなさい、食べます…」



ヒョウは相変わらずあたしの専属執事なので、雪乃さんのお世話はタマキさんの仕事。



お兄ちゃんが大学を出たら籍を入れる約束までしたので、ほぼ家族みたいな感じだし。



平和すぎて、なんだか怖いなぁ~…。