【琴音】



なんで急に突き放すのぉ~…。



こんなに苦しいのに!!



「琴音ちゃん、昨日より熱下がったね」

「うん…」

「浮かない顔して、どうしたの?」

「先生、あたし…嫌われるようなことしたのかな…」

「誰に?彼氏でもできた?ってか、そんな歳になったのかぁ~…」

「あたしを運んだ執事…」

「えっ!?執事って…最近屋敷に来た青柳くん?付き合ってたの!?」



小さい頃からあたしの主治医の先生。



忙しいのに、具合が悪くなるといつも飛んできてくれる。



「血も涙もなさそうだよね、彼」

「優しいもん…。てっきりずっといてくれるって思って…たのにっ…」

「なぜ泣く!?弱りすぎだよ!!」



目が覚めてヒョウがいない。



あんなにべったりだったのに…。



体調悪くて心細いのに…。



その時聞こえたノック。



ヒョウかと思い、一瞬浮かれた。



「琴音~、大丈夫か?」

「お兄ちゃん…」

「おっ、久しぶり、先生。すっかり老けちゃって~」



お兄ちゃんか…。



ヒョウは来てくれないのかな…。